【有明海再生に関する有識者意見交換会】
■開催日 平成23年2月20日(日) 9:30~12:30
■会 場 佐賀大学 理工学部6号館2階 多目的セミナー室 (佐賀市本庄町1番地)
【開催趣旨】
5回の「有明海のなぜ?」シンポジウム及び緊急フォーラムの結果を踏まえ、再生機構のこれまでの成果及び各プロジェクトの成果などの有明海の現状について共通の認識を持った上で、有明海再生に向けて今後取り組むべきこと、進むべき方向について有明海再生に携わっている有識者で意見交換を行い、有明海再生機構の中間提言取りまとめの参考とする。
■プログラム
開会
・主催者挨拶
有明海再生有識者意見交換会
<これまでの調査研究で明らかになったこと、今後の課題・進むべき方向性>
基調報告
「八代海も含めた熊本大学での取組」 熊本大学 教授 滝川 清
意見交換
■意見交換会概要
平成23年2月20日(日)に佐賀大学理工学部6号多目的セミナー室室(佐賀市本庄町1番地)にて「有明海再生に関する有識者意見交換会」を開催しました。
前日(2月19日)の第5回シンポジウムの成果を踏まえ、当機構の中間提言として、今後の考え方を示す際の参考とするため、有明海再生に関する有識者を招き、有明海再生の目標像、それに関する課題、解決するための調査研究のあり方などについて、意見交換会を行いました。
意見交換の前に、「有明海・八代海再生に向けた熊本大学の取組」について基調報告をいただき、その後の議論に関する情報を共有化するため、昨日のシンポジウムの「有明海再生調査研究の到達点」についても概要を報告しました。
意見交換会や傍聴者からでいただいた主な意見、キーワードは次のとおりで、これらを参考に、今後、当機構の方向性を含め中間提言として取りまとめます。
<有明海再生の目標像、キーワード>
豊かな生態系サービスを将来にわたって持続的に享受できる海
生物多様性の保持(極相化の排除) ・貴重な生物、独特な生物相の保全
情報の循環、関係者の合意形成による目標像の設定
かつてあった風土(人と海のかかわり)の再構築
1980年代の海
二枚貝の再生、ノリ生産の安定化
<目標達成のための道筋、課題、ヒントなど>
科学の知と地域の知の共有、融合
地域の人の実感を調査研究により実証
水産資源ではない貴重生物の価値の発見
大陸依存種、独特な生物相が生き残った仕組みの解明
有明海全体、外海との関係など海域の全体システムの理解
常時安定生物群集の存在の確認
特定の生物種の増減の繰り返しによる管理方法の解明
生態系バランスに基づく漁業の推進
生産の場、希少生物の生息場としての認識 ・微量化学物質の生態系への影響調査
目標像、目標イメージの可視化
有明海はコモンズ(共有地)、公共用水域との関係者の認識の共有
漁業者、住民、行政も研究の一員となる仕組みの構築
漁業者や住民の意識の変革、沿岸住民の質の向上 <有明海の管理方策>
地元関係県による自立した管理の仕組みの構築
地元関係者(漁業者、研究者、市民、行政)の明確な役割分担による生態系管理
順応的管理
漁業者によるモニタリング実施の法制化
<支援材料、支援ツール>
シミュレーションモデルの精緻化、公開型モデルの構築
研究者連携による新しい研究者(人材)の育成
国内外問わず、同様の環境、研究分野の研究者との交流、情報発信
持続的な研究体制とモニタリングの継続
物理、化学、生物、土木などの研究者の英知の集結システムの構築
地域主体で全体を統合する司令塔的な組織の構築
<その他、留意すべきこと>
全体成果の関係者間へのフィードバックの仕組みの構築
環境変化の原因究明が未解明であり、継続的な基礎的な調査研究の重要性の認識
生物生産システム、生物の生活史については、水産対象の特定のもの(アサリ、サルボウなど)以外ほとんどわかっていない。
漁業従事者の毎年減少など社会現象と自然再生との時間軸の中での関係の認識
研究者と漁業者とのパイプ役、県境越え、行政縦割り排除など垣根を越えたコーディネート役としての行政の役割の重要性の認識
短期的課題と長期的課題を明確にした取組
※詳しくは
平成 22年度 第5回「有明海のなぜ?」シンポジウム・有明海再生に関する意見交換会・有明海講座 講演録」をご覧ください。
H23.02.20 有明海再生に関する有識者意見交換会 講演録
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